『面倒だから、しよう』を読んで
ノートルダム清心学園理事長 渡辺和子さんの本です。渡辺さんの本を紹介するのは2回目ですね。渡辺さんは30代半ばに、岡山に派遣され、翌年、ノートルダム清心女子大学の学長に任命されて、以来、今に至っているそうです。
金スマという番組で紹介されたことなどがきっかけで、「置かれた場所で咲きなさい」は140万部のベストセラー。この本も40万部越えだそうです。
この本は次の3名の方に読んでほしいと思います。
- 自分が完璧ではないからと自分を許せない人
- 生きることが何かわからず苦しんでいる人
- ついつい何事も不満に感じてしまう人
この本は、「置かれた場所で咲きなさい」の続編にあたる本です。構成は、「置かれた場所で咲きなさい」と同様に、渡辺さんが過去経験してきたエピソードを中心に解説していきます。そして、エピソードを書いた後に1文で、簡潔に言いたいことをまとめられています。
その1文が、なかなかいいのです。心のきれいな人から出てくる言葉というのは、こんなにきれいなのかと感じてしまいます。
この本の中では、マザー・テレサさんのエピソード、星野富弘さんの詩、相田みつおさんの詩がいくつか掲載されています。
今回、印象に残ったのは、次のとおりです。
①小さなことに大きな愛を込めて
②新しい気持ちで毎日の仕事に取り組む
③不本意な出来事に向き合うには
④「汝の敵を愛する」ことの意味
⑤愛とは能率や効率を考えないもの
特に印象に残ったところを簡単に触れると
②不本意な出来事に向き合うには
渡辺さんがアメリカで5年間過ごした時に経験したことです。修練院で、配膳の仕事を担当してきた時に、修練長から「何を考えながら仕事をしていますか?」と質問されます。
その時、渡辺さんが「別に何も」と回答した時に、修練長が「時間を無駄にすのではなく、夕食に着く人たちのために祈りなさい」と言ったことが印象に残っています。雑用というのは、用を雑に…という言葉は名言だと思いました。
④「汝の敵を愛する」ことの意味
渡辺さんは9歳の時、父親を目の前で惨殺されるという、普通の人では経験することのない事件に出会いました。修道院に入ってから20年後、その時に犯人側だった人間の一人とテレビ番組で再会することになります。
その時のエピソードが、この本で語られていますが、人を許すことの難しさを語っています。
この事件を許すというのは、なかなかできないことだと思いますが、それに向き合おうとする姿勢が、人格者ならではだと思いました。
「置かれた場所で咲きない」でも書きましたが、この本も神様を信頼して生きている方の人生の教えです。こうした形で一流の方の考え方を学べるというのは、本ならではだと思います。改めて、本に感謝しています。
著者の渡辺和子さん、株式会社幻冬社の皆様、素敵な本を出版していただきありがとうございました。