『水平思考の世界』を読んで
エドワード・デ・ボノさんにより書かれた本です。なんと原著の出版は、1967年と古いのです。水平思考という考え方は、元シチズンの俣野さんが関係された本で知りました。そこから興味を持っていたので、書店でこの本を見つけた時、迷わず手にとってみました。
この本は、思考の行き詰まりを感じている方に読んでほしいと思います
水平思考という言葉を知ったのは、元シチズンの俣野さんが関係された本で、その時の例としては、りんごが4個あります。これを3人で分けるとしたら、どうしますか?
という問題に対してのロジカルシンキングでの答えと水平思考での答えの違いに目を見張ったのでした。
ロジカルシンキングの場合、まず1個ずつ分けて、残り1個を包丁でカットして分けるというものでした。
一方で、水平思考の場合、4個をジューサーにかけてジュースにして、3分割するという方法でした。この方法の意外性に目を見張りました。
この本では、こうした水平思考とは何かという話から、水平思考をどうやって実践していくかについて語ってくれます。
この本を読むと、水平思考が現れる時というのは、従来の論理的思考が役に立たない時、あるいは偶然が重なって今まで思考を捨てなければならない時のようです。
今まで思考に使っていたパターンが通用しなくなり、新しいパターンを否応なしに再検討せざるえない状況になって閃くことが多いようです。
その例として、著者は数十ページを割いて、図形のパターン認識の例を用いて説明してくれています。この例から、導入したパターンが事例と合わなくなって、なんとか適用できないかと固執する自分がいることに気がつかされました。
水平思考を発揮するために、心しておくのは、以下の4つのことだそうです。
①支配的なアイデアを認識すること。
②様々なものの見方を探し求めること。
③垂直思考の強い支配から抜け出すこと。
④偶然の機会を活用すること。
人が思考するときには、ある思考パターンに強く束縛されることを示しています。その束縛から逃れるために、上記4つのことを意識的に実践していくことが大事だとのこと。
一つのアイデアに支配されているときには、他のアイデアが出てきにくいので、他のアイデアを複数出して検討することを求めています。
偶然の機会を利用することで、意図通りに物事が進まないことを体験することになりますが、それを楽しんでいくことの重要性が語られています。
過去、研究者が遭遇した様々な事例が紹介されていて、これらを読むことで、著者が意図することが頭に入ってきやすくなっています。
特に偶然の機会を利用するという話が、結構面白かったように思います。そして必ず解決できるということを確信することも大事だと。
こうした思考を行うために忘れていてはならないことは、問題があること、そしてそれが今までアイデアでは解決できないことが、意外と重要。
こうした状況に陥ると、新しいアイデア(実現したら、当たり前に感じるもの)が閃くことが多いそうです。
困ったことが、実は私たちのライフを改善してくれるというのはいいことですね。
著者のエドワード・デ・ボノさん、翻訳者の藤島みさ子さん、装丁担当の井上新八さん、本文デザインの佐藤千恵さん、翻訳協力の株式会社トランネットの皆様、印刷・製本担当の株式会社シナノの皆様、きこ書房の皆様、視点を変えてくれる本を出版していただきありがとうございました。