nishiikatsumi’s diary

Long Live Reading Books

『馬を飛ばそう』を読んで

 IoT (Internet of Things)の提唱者のケヴィン・アシュトンさんが書いた本です。

 IoTというと、言葉としては、2015年に流行したように思いますが、この言葉が示すコンセプトそのものは、2003年頃にはあったとのこと。

 IoTという言葉を生み出した方が、創造について、どう考えているのか?などを考えつつ、手に取ってみました。

 IoTに関する話はほとんどなく、意外にも過去の創造に関する歴史を振り返る旅に出ることになりました。

馬を飛ばそう

馬を飛ばそう

 

 この本は次の3名の方に読んでほしいと思います。

 ①創造性が低いと感じているアーティストの方

 ②今、勉学に励んでいる学生の方

 ③会社に勤務しているエンジニアの方

 

 この本では、創造というものがどうやっていけば生み出されるか?、そして創造を高めるものは何のか?そして創造を阻むものは何のか?を、過去の歴史を振り返りながら、追求していきます。

 まずは、モーツァルトの手紙から考察が始まります。モーツァルトの手紙で判明した新事実をもとに、創造性とは何かを語り始めます。

 創造という行為は、天才的なひらめきに基づくものではなく、一見すると非常に退屈な行為だとこの本は語ります。

 とにかく、ひたすら、試行錯誤の繰り返しであり、そこにはひらめきで解決するという単純な話ではないとのこと。

 この話から始まり、膨大な事例を我々に紹介してくれています。

 

 その中で、以前ダニエル・ピンクさんの本で語られていた、報酬を伴う仕事をした場合、その仕事の創造性が損なわれるという話も出てきます。

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 そして、創造性を発揮することは、他と異なることを行うことになるので、周囲の大半の人は、拒絶してしまうとのこと。

 認められるようになるためには、尋常でない努力を要することになります。事例で紹介された方々は、その荒波の中でも力強く立ち向かって行っていて、この方々の信念は、どこから生じたのか?気になりました。

 (残念ながら、この本では、そこまで追求はしていません。)

 その一方で、組織がそれを受け入れた場合、各人が創造性を発揮して、驚異的な成果を上げたロッキードの事例が紹介されていて、非常に興味深く読ませてもらいました。

 

 この本を読んで気づかされたのは、創造性は一握りの天才だけのものではないということです。これは誰もが持っていて、発揮されるのを待っているということ。

 過去の事例では、他者に創造性による成果を奪われたエピソードも紹介されていますが、現在ではそういう事例は少なくなっていると思いますので、自信を持って発揮していきたいものです。

 今回、読んだ感想としては、究極の鍛錬を読んだ時の感じと似ていて、鍛錬が成果を引き出すというのは、びっくりさせられました。

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  創造性を高める地道な努力をしていきたいと思います。

 

 著者のケヴィン・アシュトンさん、翻訳者の門脇弘典さん、装幀担当の岩瀬聡さん、編集担当の川上純子さん、カバーイラスト担当のenisaksoy/DigitalVision Vectors/Getty Imagesの皆様、株式会社 日経BP社の皆様、創造性を高めるのに参考にある本を出版していただき、ありがとうございました。