『問題解決に効く「行為のデザイン」思考法』を読んで
オムロンの「スポットアーム」やマイクロソフトの「Xbox 360」などを手がけてきた村田智明さんが書いた本です。
現在の村田さんは、京都造形芸術大学教授であり、株式会社ハーズ実験デザイン研究所 代表取締役だそうです。
この本を手に取ったのは、表紙のデザインが気になったからです。まずは読んでみようかなと考え、購入してみました。
この本は次の3名の方に読んでほしいと思います。
- デザインを勉強している学生の方
- 製造業でものづくりをしている方
- 自分がクリエイティブでないと悩んでいる方
デザインというと、見かけだけをどうしても重要視していまいがちです。しかし、この本では、そうした一面はあるものの、それだけに注目するのは間違いだと語ります。
では、世に求められているデザインとは、どういったものなのか?
それを時間軸で追っていくと、次の3つのプロセスを経ています。
①プランニング
②可視化(ビジュアライズ)
③告知(アドバタイジング)
これらの中身についてはこの本を読んでいただくとして、この本の目的は、デザインとはデザイナーだけが行うべきものではなくなってもらうことを知ってもらい、「行為のデザイン」という手法の紹介とそれをユーザがマネジメントを可能にすることだそうです。
「行為のデザイン」とは、文字どおり人の行動に着目して良いデザインを作っていく方法とのこと。
この本では、説明書で解説しなくても理解してもらえるようなデザインにすることの重要性を語っています。そのためには「行為のデザイン」を考えればいいとのこと。
ユーザがものを買うときも、この「行為のデザイン」という手法を意識すれば、買ってから失敗することは激減すると、この本は語ります。
そして、デザインとしては、以下の関係性を考える必要性があるとのこと。
①人と人、②人ともの、③人と情報
仮に人を考えても、年配の人を対象にするのか、幼児を対象にするのかでデザインは変わってきます。
このように視点を変えて、検討していくことの重要性をこの本では語っています。
この本の前半部では、コンセプトの話が主になっていますが、後半は具体的なデザイン例があり、これは読んでいて、いや目で見ていて非常に楽しいと思います。
個人的に印象に残ったのが、タコ足接続をしないようにするコンセントのデザインでした。
また、具体的なデザインのバグ事例もがたくさんあります。これで誤ったデザインとは何かを具体的に理解できると思います。
著者の村田智明さん、装幀担当の松田行正さん、日向麻梨子さん、編集協力担当の丘村奈央子さん、イラスト作成担当の宮澤槙さん、柳瀬理恵子さん、著者エージェントのアップリシード・エージェンシーの皆様、印刷・製本担当の慶昌堂印刷株式会社の皆様、株式会社CCCメディアハウスの皆様、素敵な本を出版していただきありがとうございました。