読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

nishiikatsumi’s diary

Long Live Reading Books and Programming

『マイクロソフトを辞めて、オフィスのない会社で働いてみた』を読んで

 マイクロソフトでマネジャーを経験してきたスコット・バークンさんが書いた本です。

マイクロソフトを辞めて、オフィスのない会社で働いてみた

マイクロソフトを辞めて、オフィスのない会社で働いてみた

 

  著者のスコット・バークンさんの本は以前、このブログでも紹介しています。

nishiikatsumi.hatenablog.com

  このときはプロジェクトマネジャーとして得た知見を本という形でシェアしてくれました。今回の話は、その後のバークンさんの話です。

 9年間勤務したマイクロソフトを退職して、企業に対してコンサルティングを行っていたそうです。コンサルティングを行ってる時に知り合ったワードプレスを経営しているオートマティックという会社の経営者のマット・マレンウェッグさんに出会います。彼に著者は誘われて、オートマティックで働くことになります。

 オートマティックならではの新しい働き方を綴った本です。

 この本は、エンジニアの方に読んでほしいと思います。

 

 そもそも皆さんはオートマティックという会社を知っていますか?私はこの本で初めて、耳にしました。もともとワードプレスは、この会社の経営者のマレンウェッグさんが、自分がほしいブログツールの開発を始めたことに端を発しています。

 で、今は、4つのビジネスで収益を上げている会社だそうです。

 それは、

 ①ユーザに対するプロダクトやサービスの販売。

 ②広告収入。

 ③大手企業の自社サイト運営のサービス。

 ④他の企業との提携による収入。

 

 この会社が、一般的な企業と比較して型破りな点は、エンジニアがリモートで働いていることです。つまり、社員は全世界にいるそうです。

 このため、パソコンを使って、インターネット経由で会議を行う一方で、チームを海外のとある場所に集めて顔を突き合わせて会議をしたりしているそうです。

 著者は2010年にオートマティックに加入します。当初は1年間限定で勤務することを考えていたようです。ですが、約2年にわたって勤務することになります。

 オートマティックの特徴は新人に、顧客サポートを担当させることです。著者はこれに結構苦労した経緯を語ってくれています。

 チームのリーダーとなった著者は、マイクロソフト時代のような大規模なプロジェクトではなく、小規模ながらスピードが求められるプロジェクトで生きていくコツを紹介してくれています。

 スタートアップに良くある計画するよりも失敗から学ぶやり方と、大企業のように計画を重視していくやり方をどうミックスさせていくかがポイントと語ります。

 リーダーとして重要なのは、メンバーの敬意を受け取れるかどうかだという言葉を読んで、自分にはちょっと難しいかなと思った次第です。

 オートマティックでは、開発からリリースまでの展開が早く、失敗を糧にして成果を上げているというの事実が伝わってきました。このスタイルの開発は、今後、ソフトウェア企業にとっては一般的なあり方になってくるように思えました。

 ハードウェア企業には当てはまらないように思えますが、新規販売が伸びない中で、メンテナンスで利益を得るという考え方に近いものがあるので、遅かれ早かれ、こうした流れに乗るので、この本の仕事のスタイルは参考になるように感じています。

 その一方で、人の罠という事例も紹介されていて、著者が開発者にしつこく提案して、ワードプレスのある登録ボタンを左側に置くことを実現させたことで、登録の成績が非常に良くなったことを紹介しています。それが実現するまでにかかった苦労とともに。気がつけば…ですが、人は納得するまでに時間がかかり、やりたがらない仕事は後回しにされると。

 

 ワードプレスの開発に関する7つのステップは非常に興味深く、オートマティックのPDCAサイクルなんだなと感じました。物語の展開としては必ずしもハッピーエンドというわけではないのですが、所々に将来、マネジャーとなった場合、どうしていけばいいのかを教えてくれる有意義な本でした。

 

 著者のスコット・バークンさん、翻訳者の依田卓巳さん、カバーイラスト担当の須山奈津希さん、印刷担当の株式会社光邦の皆様、製本担当の大進堂の皆様、装幀担当の新潮社装幀室の皆様、株式会社新潮社の皆様、リモートワークに関する知見を提供してくれる素晴らしい本を出版していただきありがとうございました。