『変わり続ける』を読んで
クオンタムリープの出井さんというよりも、元ソニーの会長だった出井さんといった方が皆さんにとって馴染みがあるかもしれません。
私は、もともと出井さんに対しては、かなりの偏見を持っていました。それはどういう偏見かというと、ソニーを衰退させた原因が彼にあるというもの。
この偏見を長年抱えてきたわけです。
この本を、紀伊國屋書店横浜店で見かけたとき、私にこの偏見が頭の中に出てきたのですが、それと同時に著者の出井さんのことを知っているのか?という疑問も出てきました。
そういえば、彼のことを何も知らない、知らないのに偏見を持って非難している。それはおかしい対応なのではと思い、この本を手に取ることにしました。
この本は、次の3名の方に読んでほしいと思います。
- 成長を続けたいと思っている方
- 今後のキャリア構築に悩んでいる方
- 20代の若い会社員の方々
この本の中で語られるのは、キャリアをどう構築していくのか?ということです。
その例として、出井さんのキャリア構築が紹介されています。親からは経済学者になることを期待されていたが、ソニーに就職をする道を選ぶことになった出井さん。
両親の反対を交わして就職する妙案が、ここでは紹介されています。
この本の中で紹介されているのは、リポジションという話です。数年から10年くらいで転職業を行う。出井さんの場合は、同じ会社でも職種が変わっていますよね。
これを行うことで成長できるという話が主に書かれています。
この中では、事業部長になるために、当時瀕死のオーディオ事業部の事業部長になったりするなどのエピソードも出てきます。キャリア構築を考えた時に、この本でかかれているやり方はかなり参考にできると思います。
一見、不遇に見えても、その中で大きな仕事ができる可能性を指して、ひるまずにチャレンジしていくことの重要性を語ってくれます。
本の中でも簡単に語られていますが、著者は不遇な時代が長かった。よく社長になる人は若い頃に不遇な時代を経験することが多いとありますが、まさにそれでした。
リポジションの話と言いながらも、キャリアを構築する際に、不得手な分野に挑むことになった場合、どうするか?に対しては、知らないことを知ったかぶったりしないことだと語ります。
上記のように本の中では、身をこなすために、どんなことをしておけばいいのか?どんな態度で臨むべきなのかについても書かれています。
(本の購入について、ノートの使い方…)
また、自分探しについても触れられていて、必死で探していくことを勧めてくれています。ダメッだったら次を考えればいいとのこと。
その一方で、ソニー退社後に、他の会社からの社外取締役就任への要請が来ることを思えば、ソニー現役時代のキャリアの構築がいかに重要なのかを教えてくれています。過去を全て捨てるのではなく、こうしたやり方で未来を作っていくのも考えていくべきだなと思いました。
この本を読んで、ソニーの衰退の原因が出井さんにあるとは思わなくなりました。実際は出井さんは、ハードウェアからコンテンツ企業への転換を目指していたのではないかと考えます。
ただ、当時のソニーは出すものがことごとく当たっていて時代で、それに乗り遅れたのではないかなと考えます。
この本を買って、出井さんのことを見直すきっかけとなったので、よかったと思います。
著者の出井伸之さん、編集協力の上阪徹さん、装丁・本文デザイン担当の水戸部功さん、本文DTP担当の桜井淳さん、校正担当の鷗来堂の皆様、製作進行担当のダイヤモンド・グラフィック社の皆様、印刷担当の堀内印刷所、慶昌堂印刷の皆様、製本担当の川島製本所の皆様、編集担当の和田史子さん、ダイヤモンド社の皆様、私の偏見を除いてくれる本を出版していただき、ありがとうございました。